おもてなしは、ディスカッション
第22回マクロファージ分子細胞生物学国際シンポジウム
 (MMCB2014)開催記録

by 兵庫医療大学・薬学部・生体防御学 田中稔之日本免疫学会ニュースレター VOL 23 NO.1: OCT 2014 掲載

本年6月2日と3日の両日にわたり、神戸商工会議所において第22回マクロファージ分子細胞生物学国際シンポジウム(22nd International Symposium on Molecular and Cell
Biology of Macrophages: MMCB2014)を開催しました。本シンポジウムはマクロファージ分子細胞生物学研究会(松島綱治会長)が主催し、マクロファージや樹状細胞に関するホットなトピックスを取り上げ、年ごとにテーマを定めて集中的に討論を深める小規模ながら密度の濃い国際シンポジウムです。

 今回は、全体テーマを "Macrophage in Maintenance of Tissue Homeostasis and Disease" とし、狭義の生体防御にとどまらないマクロファージの役割を俯瞰できるよう、免疫学の外側にも目を配りながらプログラムを立案し、「マクロファージの分化と機能」「自然認識と代謝」「炎症・免疫応答と疾患」「癌微小環境とマクロファージ」に関するセッションを設けました。ランチタイムスペシャルレクチャーでは、「腸内細菌」と「アジュバント認識」を取り上げました。シンポジウムにはNlrp3 inflammasomeと個体レベルの老化の関連を指摘したVishwa Deep Dixit 博士 (Yale University, USA) をはじめとする6名の海外講演者と15名の国内講演者をお招きし、選りすぐりのトピックスをお話しいただきました(プログラムはhttp://www.huhs.ac.jp/studygroup/mmcb2014/index.htmlから参照ください)。

 2日間のシンポジウムは7カ国から124名の参加者が集い、レクチャーに触発された討論に溢れました。併せて開催したポスターワークショップでは、31題のポスター発表から若手研究者による3つの優秀なポスター発表を表彰しました。そして、これまでの本邦のオリジナルな成果を踏まえ、組織常在性マクロファージの起源と機能を継続的に追求したいとする松島会長のConcluding Remarksで締めくくられました。また、シンポジウム終了後に、トップランナーにお話いただいたプログラムに加え、よい雰囲気の中で活発な討論をエンジョイできたとの声が多く寄せられたことは、開催責任者として大きな喜びでした。準備と運営に携わった研究室のスタッフにあらためて感謝します。次回は、日本がん免疫学会との共催で、がん免疫療法・マクロファージ国際会議2015として、2015年7月9日から11日の3日間にわたり、東京で開催の予定です。

*JSI Newsletter Vol.23 No.1 掲載